読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

「こどもの日」

おれが所沢に引っ越してきたおよそ30年まえは

大きな家の瓦屋根のうえにこいのぼりが泳いでいた

長男が乳母車のなかから手をのばして

こいのぼりをつかまえようとしているのを見て

こどもには遠近感がないのかなと思ったりしたのを覚えている

いまでも所沢の片田舎は空が広い

こいのぼりが泳ぐには最適の環境だ

しかし

こいのぼりはめっきり見かけなくなった

少子化の影響なのか

こどもや孫が生まれても

こいのぼりを泳がせる風習がなくなりつつあるのか判らないが

とにかくこいのぼりを見かけることが少なくなった

マンションや団地のベランダに小型のこいのぼりが泳いでいたのも

20年ほどまえまで

いまではそういう小型のこいのぼりも見かけなくなった

おれが生まれ育った時期は

ベビーブームのあとで

下町の狭い空にもいっぱいこいのぼりが競うように泳いでた

友だちと「真鯉は青いのと黒いのとではどっちが正しいのか?」なんてハナシもした

「黒は悪党っぽいよな」なんてこともいった覚えがある

こいのぼりは

むかし連休のシンボルだったような気がする

いまではその連休も適当な名前の祝日を混ぜて

すっかり長くなってきたが

反比例してこいのぼりが泳がなくなってきた

なんとなく空が寂しい